アイルランド、アークロウ市に本拠を置く、アークロウ・シッピング社からご発注を頂いたギアレスの13,650tdw 多目的貨物船 3隻シリーズの第一船です。びっくりされる方もおられると思いますが、本船の船籍はアイルランド、船籍港はアークロウ。これだけでも、旭洋造船の自信と、チャレンジ精神がよく現れたプロジェクトと言えるでしょう。
もちろん同業他社の皆さんと比べて海外船主からの発注が段違いに多いのが旭洋造船の特徴の一つですが、当時はCOSCO をはじめ中国からの発注が続いており、シンガポール向けケミカルタンカーに続いて受注した本シリーズは、我々としては久々のヨーロッパマーケットへの復帰となるプロジェクト。これを足がかりに、(英語力を磨きつつ、)英国、スイス、ノルウェイ、ベネルクスへと、針路を向けて行くことになります。
本船はオープンハッチのボックスホールド船型とし、ホールド内のコンテナ搭載に対応する一方で、スチールコイル(25T/40T) の積載が可能です。バルク物としてはグレーン、石炭、肥料に加えて、想定貨物としてアフリカ産のココアがリストに入っているのが珍しいかも知れません。また主機として、当時日本の造船所としては珍しかった、ヴァルチラの中速エンジンを採用しているのもトピックスです。
リバーダンスレッスン、アイリッシュソング、ジャズバーでのアイルランド国歌の全員合唱、そしてベーコン&キャベッジ。色々な思い出を残し、本船は出航して行きました。
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