NEWS 246 : 2019 新年のごあいさつ
年頭にあたり、謹んで新年のご挨拶を申し上げますと共に、本年の抱負を述べさせていただきます。
世界経済は、一昨年に続いて雇用と所得環境の回復、個人消費の拡大、そして企業業績の改善による活発な設備投資等により、堅調な成長を維持したものの、今年は、中間選挙を終えた新たな政局でのトランプ政権の貿易政策や金利動向に注視していく必要があります。 国内経済でも、同じく雇用と所得の改善や企業の積極的な設備投資に支えられ、今月には、景気回復局面が戦後最長となる見通しになるものの、今年10月の消費税増税を前に、政府が有効な景気刺激策を打って行けるかどうかを注目することとなります。
このような経済情勢の中で、昨年の海運界では、依然としてタンカーなど一部の船種は厳しい状態が続いていますが、世界経済の拡大に伴い、ドライバルクを中心として徐々に海運マーケットは回復していきました。 又、昨年の特徴的な事としましては、米国の中国に対する追加制裁を前にした駆け込み需要が好調のひとつとして挙げられます。 今年は、その特需の反動も気になりますが、はやり米国の保護貿易主義が、堅調に成長する世界経済のピークアウトを早める可能性が高く、海運マーケットにどのように影響していくのか不透明な年となりそうであります。
造船業界にとっての昨年は、中韓造船会社の安値受注など新造船マーケットが厳しい中にあって、特に印象的であったのは、専業大手の同業他社や舶用機器メーカーの買収、或いは、重工系造船会社の中国造船会社とのアライアンスといった国内造船会社の動きでありました。 円安が唯一業績改善の要因となっている日本の造船業界にあって、持続可能な経営戦略として各社で新たな枠組みの形成やダイバーシティーとしての新規事業への進出が進んでいくのではないかと感じています。
また今年前半には、1年後に適用されるSOx規制対応の低硫黄燃料のスペックが出そろうと共に、ステイクホルダーである荷主、用船者、船主、造船所の対応方針が明確になるでしょう。弊社も2020年に引き渡す新造船の多くにスクラバーを搭載しますが、MGO専焼仕様も含めあらゆる可能性を追及していかなければならないと思っています。
このような状況の下、弊社は、新造船部門におきまして、昨年5隻の船を建造、引き渡しすることができました。 内訳は海外船主様から発注頂いたセミレフ型の 7,000m3LPG船1隻と1,096TEU型コンテナ1隻、そして国内船主様から発注頂いた加圧型の7,500m3LPG船1隻、球状船首を用いた670 TEU型内航コンテナ1隻、及び超低温冷凍運搬船1隻であります。全船が異なる船型で、現場の工程管理は多忙を極めました。
一方、受注面では、大変厳しい新造船マーケット状況ではありましたが、冷凍運搬船やコンテナ船など国内外の船主様より発注もしくは内示を頂きまして、2021年初頭までの受注量を確保することができました。
また、もうひとつの営業主力である修繕部門におきましても、引き続き多くの国内のお客様にご愛顧いただきまして、売上金額は前年を上回ることができました。
さて、私の今年取り組む抱負はふたつあります。 ひとつは、引き続き厳しい環境の下で、やはり受注を着実に積み重ねることであります。 ニッチなマーケットに強みを持つ弊社は、今までも様々な船種に対応できる開発設計能力を持って参りましたが、より時代の変化や潜在的なニーズを捉えた小ロットであっても高付加価値、高性能な船型を開発し、国内外のお取引先にご提案してまいります。
もうひとつは、生き残りのための生命線であります、競争力の一層の強化であります。 昨年6月、あらたに取締役2名を加えて経営陣の若返りを図りました。 コスト低減や工場管理を得意とする副社長、そして、国内外を問わない広いフィールドで活躍できる営業担当常務の2名です。 今までの慣行や思考に囚われない彼らの先進的なアイデア、そして実行力によって、早くも新しい旭洋造船が再生されようとしています。 今年は、この新生旭洋造船の下で、従来から持つ旭洋造船の4つの力、「営業力、設計力、工作力、財務力」を再結集し、中小造船のトップランナーを標榜し、あらゆる面で生産性の向上とコスト低減に努めて参ります。
結びといたしまして、今旭洋造船がこうして健全に営ませていただけるのも、ひとえにご発注いただきました船主様を始め、商談を仲介いただきました商社様やブローカー様などなど関係各社様のご厚情とご努力の賜と、改めまして感謝の気持ちを表させていただきたいと存じます。
若々しい声のあふれる活気のある職場を常に標榜し、協力会社を含めた全社員が「チーム旭洋」としてワンチームの一体感を感じながら、将来に向けエンジニアリング能力に長けた設計布陣をもつ小粒でもピリッと辛い造船所を目指してまいります。
本年も気持ちを新たに、私たち一同は、建造、修繕させていただくチャンスをいただいたお客様や様々な関係者の方々への感謝の気持ちをかみしめつつ、地域のため、会社のため、そして自分自身と家族のために、夢と希望と活力をもって、安全第一に「船づくり」を行ってまいります。今後とも、一層のご愛顧とご鞭撻をお願い申し上げます。
旭洋造船株式会社
代表取締役社長
越智勝彦
[2019/01/01]