NEWS 282 : 持続可能な企業と社会に向けて
今、世界は新たなコロナの変異株に揺れ動いていますが、人間らしさの根源である「行動の自由」を取り戻すべく、冷静な内省と新たな対策で、必ずや対ウイルスの戦果を積み上げていけると感じています。新年を迎え、コロナ禍が終息しないまでも希望に満ちた次なるステージへとシフトしていくことを願っています。
さて、造船業界では、昨年春先に急騰したばら積み船やコンテナ船の海運市況が新造船の引き合い案件の増加をもたらし、受注面で活況を呈しましたが、一方で、これまでに経験したことがない鋼材価格の急激な高騰によって資材調達価格が上昇しており、採算面で大きな不安要素となっています。
このような状況の中、弊社は、新造船部門におきましては、昨年4隻の船を建造し、予定通り引き渡すことができました。内訳は、11,000m3型LPG船1隻、1,096TEUコンテナ船2隻、178,000cft冷凍加工船1隻となります。
受注面では、合計8隻を受注することができました。内訳は LPG船1隻、セメント船1隻、コンテナ船6隻となります。これにより引渡ベースで2023年末までの工事量を確保いたしました。
また、もう一つの主力事業であります修繕部門は、引き続き多くの企業からご愛顧いただき、安定した工事量を確保し、堅調に推移しております。
ここで、今年の私の取り組むべき抱負を述べさせて頂きます。 まずは時代変化や潜在的なニーズを捉え、どんな船型・仕様にも対応できる設計陣の下で、国内外からの受注機会をしっかりと捉えるという営業戦略の徹底です。 とりわけ、昨年11月、弊社は国土交通省より事業基盤強化計画の認定を受け、内航船の受注で優位性を持つことができました。 依然として海外への営業活動が制限される中、これを好機と捉え、外航船同様、内航船社様の経営に資する船舶の提案と受注に力を注いで参ります。
次に、競争力の一段の向上です。鋼材を中心とする資機材費の値上げが収益の圧迫要因となり得ることから、今年は特にこの課題解決に向け、設計仕様の見直しから始まり、購買部門の購買力強化に向けた取り組みに注力して参ります。
さて、脱炭素社会における船舶のひとつの形として、弊社が開発した球状船首を備えながら様々な船種、燃料に適用可能である「3セグメント船の開発」というコンセプトが昨年10月、日本財団様より、「先進船舶の開発・実証助成プログラム」として採択され、まずはガス焚きエンジンの LPG運搬船を対象船として作業を開始いたします。これにより小型商船では経済性において極めて困難と言われるゼロミッション船への課題解決に向けて力強い一歩を踏み出すことができました。
ここで弊社のグループ企業についてもお伝えいたします。
弊社の親会社にあたるストレイツホールディングス株式会社は、「100年企業を目指す」とする目標の下、その戦略のひとつとして、2017年に持株会社として設立されました。造船業とは異なる分野のグループ企業を設立し、個社が業績を伸ばすことによってグループ全体の力を高め、ひいては弊社の目標達成を支援していくというものであります。
この間、海事関連事業への投資会社と非マリン関連事業への投資会社を2社設立し活動して参りましたが、昨年より収益を上げグループへ貢献できる会社へと変わりつつあります。こちらも引き続き専門スタッフと共に強力に推し進めて参ります。
結びといたしまして、今旭洋造船がこうして健全に営ませていただけるのも、ひとえにご発注いただきました船主様を始め、商談を仲介いただきました商社様やブローカー様などなど関係各社様のご厚情とご努力の賜と、改めまして感謝の気持ちを表させていただきたいと存じます。
若々しい声のあふれる活気のある職場を常に標榜し、協力会社を含めた全社員が「チーム旭洋」としてワンチームの一体感を感じながら、社員を家族として考え、彼らの夢や目標をサポートしていきながら、生きがい、やりがいが持てる組織を目指してまいります。
本年も気持ちを新たに、私たち一同は、建造、修繕させていただくチャンスをいただいたお客様や様々な関係者の方々への感謝の気持ちをかみしめつつ、地域のため、会社のため、そして自分自身と家族のために、夢と希望と活力をもって、安全第一に「船づくり」を行ってまいります。
今後とも、一層のご愛顧とご鞭撻をお願い申し上げます。
旭洋造船株式会社
代表取締役社長
越智勝彦