NEWS 338 : 航路は、未来へ
2025年10月14日、旭洋造船は696TEU型新世代内航コンテナ船「げんぶ」を建造し、引き渡しを完了いたしました。
中国四神のひとつ「玄武」は、水の神。まさに本船の船出を祝うかのごとく、それまでの秋晴れから一転、力強い雨風の中の式典となりましたが、当社の引渡式典としては過去最多となる50社・80名以上のゲストの方々にご参加いただきました。いずれも日本の内航海運を支える錚々たる皆さまです。
引渡式典に先立ち、一般社団法人・日本中小型造船工業会のご支援により、下関水産大学校の学生を対象とした船内見学会を実施しました。最新鋭の設備や快適な居住空間に触れた学生たちは、興味津々の様子でした。
そして式典では、発注者である株式会社シーグローブ代表の方による命名、管理会社である株式会社イコーズ 代表の方による力強い支綱切断をいただき、本船「げんぶ」は誕生したのです。
「げんぶ」は、公益財団法人・日本財団が推進する無人運航船プロジェクト「MEGURI2040 」第2フェーズにおける唯一の新造船「旗船」で、これから無人運航に向けて自動化の実証に挑んでいくことになります。商用運航船として世界初の試みです。
ひとつ先の海を進んでいく船として、航海、離着桟、作業にわたる本船のオペレーションを支援する最新鋭の自動化・遠隔化機器と先端テクノロジーを結集しており、本船の運航をサポートする陸上支援センターと連携することで、従来型の内航船とは一線を画すトータルな自動化環境を実現しています。
また、コンテナ船本来の積載性能面では、20フィート専用区画をなくし、ハイキューブ仕様の40フィートコンテナを重視。新設計の「インホールドハイキューブ4段積」によりコンテナの積載効率を大幅に高めているほか、140FEU という高い冷凍コンテナ積載能力を誇ります。
さらに、高仕様な内装に加え、女性専用区画や2デッキ吹き抜けのシアターホール(当面はシミュレーションゴルフ室として活用)、「げんぶカフェ」と名づけられた事務室など、船員のウェルビーイングに配慮した設計となっています。
このように、「げんぶ」には注目の仕様が満載。祝賀会では、式典を含む本船の記念動画が放映され、大きな喝采を浴びました。
旭洋造船のみならず、日本、いや世界の海運の未来を担って誕生した「げんぶ」。本船の安全な運航と、何よりプロジェクトの成功を心から祈っています。
[2025/10/28]
