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NEWS 062 : 台風高潮対策、奏功す!

台風13号による手荒い実地試験
台風13号の軌跡

2006年9月17日夜、15年ぶりの大型台風と言われた(九州上陸時930hpa)台風13号(アジア名サンサン)は、我々にとって予想通りの最悪の進路をとり西日本を襲いました。その規模は、当社に台風対策設備を決断させた2004年の台風18号をはるかに上回る超強力台風でした。

最低気圧925hPa、最大風速50m/s、17日18時九州佐世保付近上陸、20時には福岡市から日本海へ抜け下関沖を通るというコース、下関港の満潮時20時には暴風圏入り、とどれをとっても前回を凌駕する最悪のシナリオでした。

NEWS047NEWS052でご紹介した通り、当社では2005年に自家発電設備と研掃工場という2棟の新設備を建設し、なおかつそれらを含めた工場全体を守るため、台風対策だけに特化した工事(NEWS049)を完成させましたが、今回はその効果が試される初の機会となりました。

鋼製囲い壁

防衛体制として、従来最もダメージの大きかった正門外側からの海水侵入を防ぐために、以下の2点体制で臨みました。

  1. 正門裏門2箇所に浸水を完全封鎖するゴムパッキン装着遮水ゲートを前夜にセット
  2. 前回の喫水データを基に囲壁した防潮コンクリートフェンス

    上記に加え、

  3. 万が一工場内に浸水した場合でも新造船を守るため、建造ドックを50センチ高の鋼製囲壁で、完全に高潮をシャットアウト
  4. ドック排水ポンプの電源を停電時にも給電しつづける自家発電設備の稼動

これら四重の防御体制が敷かれていたことになります。そして、これまで数度にわたり30センチもの床上浸水を許した事務所棟に関しては、裏の岸壁海側から直接打ちあがりなだれ込んでくる海水を防ぐため、事務所周りに3箇所の止水門を新たに設置しました。

被害の一例

そして最も憂慮された下関港の満潮時、17日の20時。このときの状況はまさに2年前の悪夢の再現でした。ただし今回は工場の周囲の話となりました。

わが社を訪れたことのある方なら場所的には想像できると思いますが、正門前の道路、駐車場一帯は膝までの深さの川状態、その川状態は国道側の入り口にあるガソリンスタンドあたりまで続いていました。つまり、わが社の敷地の外側陸地は完全に没水状態でした。前回まではこの大量の海水が国道にまで行かずに全て当社へなだれ込んでいた訳ですが、1.と 2.がものの見事に工場内を海水流入から守り抜きました。

一方、社の敷地内側では、岸壁に近い場所から打ち上げる大波に洗われ続けたため、相当量の海水がたまった状態でしたが、前述の止水門に完全にせき止められ、深さ1メートルのプール状態のまま、約1時間の満潮を耐え切りました。事務所棟の浸水は皆無でした。なお、同じく昨年度完成した研掃工場には一切の被害はなく、むしろ、各重要精密機材の台風時避難場所として、出色のシェルターであったことを紹介しておきます。

このように台風13号による我々の台風対策設備投資への試験はこれ以上ない手荒いものでした。修繕ドックのゲート破損や機械工場天井壁の一部破損などそれなりの想定内被害は避けられなかったものの、クレーン倒壊という被害まで出た造船所があったという事実を鑑みれば、最小限程度の被害で切り抜けたと言えると思います。

最後に、我が社の根幹である新造船の建造工程には一切の影響が出なかったことを報告させていただきます。

[2006/10/28]

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