NEWS 198 : S519番船引渡し
シンガポールのKISBER SHIPPING PTE. LTD. 殿よりご発注をいただいた11,000m3 LPG船 S519番船「Kisber」の引渡しが行われました。
同船は新規設計船であり数々の最新設計が施されています。まず、船型は港湾事情により全長を120m未満に抑えた超幅広船型ですが、推進性能(省エネ)はもちろんのこと針路安定性に十分配慮した船型を開発しました。このために、曳航水槽での推進性能の確認、また回流水槽での操縦性試験並びに角水槽での自由航走試験を実施しました。
省エネ機器として、MAN B&W の最新省エネ主機関 6S35ME-B型、また、プロペラ後流を推進力に変える surf bulb 付舵を採用しています。近い将来発効される規則を見越して、バラスト水処理装置、環境対策船として、生活排水貯蔵タンク、低硫黄燃料油対策などの設備を搭載、さらにSOLAS改正騒音規制対象船ではありませんが居住区の配置検討、騒音対策工事を行い規制値をほぼクリアしています。
引渡式のゲストとしてオーナー会社である PETREDEC HOLDINGS (EASTERN) PTE. LTD. 殿よりGroup head of trade finance である Mr. Monckton とその奥様並びにFleet DirectorのMr. Philip Harwoodをはじめ5名の方々が8月24日に下関市入りされました。ところが、当初引き渡し日として予定されていた翌日の8月25日は、台風15号の下関市への最接近日となることがほぼ確実と予測された為、船を出して逃がした方が安全と判断、船主殿と協力し、速やかに調印・引渡を行いました。
支綱切断、シャンパン割り、祝砲などの式典なしという質素な引渡しとなりましたが、夕食を兼ねた小パーティでは、少人数での実にアットホームな雰囲気となり、夜中の1時過ぎまで会が続きました。船舶の安全こそ第一、という弊社、造船所と共通した理解の基で柔軟に対応して下さった船主殿には改めて感謝申し上げると共に、続くシリーズ2番船の建造に全力をつくしていきたいと思います。
[2015/09/09]