NEWS 215 : 世界初! 12,000トン積み球状船首セメント運搬船
当社の誇るSemi Spherical Shape Bow(SSSバウ:球状船首)を採用した最新鋭のセメント運搬船の登場です。自動車運搬船、コンテナ運搬船に次ぐ3種類目の船種として建造されたのは、JRTT(独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構)様と新日本近海汽船株式会社様の共有船としてご発注いただいた12,000トン積みセメント運搬船S531番船「清安丸」(きよやすまる)です。
宇部興産海運株式会社様が運航される先代の清安丸が建造後40年近く経過し、その代替船として建造された新生「清安丸」は、SSSバウと翼型断面煙突の採用により風圧抵抗を軽減し約5%の燃料節減を見込む省エネ船としてその外観も含め大きく変身を遂げました。その他技術的な特徴としては...
- 舵内側のリアクションフィンにより、プロペラの回転エネルギー損失を回収
- 操舵室前部に航海スペース、同室後部に機関制御区域を配置し、航海時及び荷役時の関連機器遠隔制御・監視を統合した合理的な設備を装備
- 確実な荷役操作のため、荷役制御室において関連機器の起動遠隔制御・監視が可能な設備を装備
- 航海支援を主目的とした音声入力が可能なMHIのSUPER BRIDGE-XEを装備
- ベクツイン舵の採用とジョイスティック操縦による入出港作業の省力化
- 主機関暖機用ポンプ及び関連弁類を対象としたスタンバイシーケンス制御システムの構築による省力化
- ホールド抜出フローゲートに水密弁を採用することにより損傷時復原性規則に対応
以上のような様々な省エネ化、省力化、制御・操作性の向上を図る最新鋭の仕様が採用され搭載できたのは、宇部興産海運様との綿密な技術打合せはもとより、同社監督様に常駐いただき密な検討・情報共有ができた賜物と感謝しております。
さて命名式が挙行された8月31日、おりからの強風もあり、ぎりぎりまで船上での開催を模索しましたが、ご参列の皆様の安全を最優先し急設された本社会議室の特設会場での開催となりました。会場には30余名のご来賓をお招きし、神事、花束贈呈の後、新日本近海汽船株式会社代表取締役社長、森美憲様により「命名『清安丸』」と宣言されました。続いて宇部興産株式会社 取締役専務執行役員・ 建設資材カンパニープレジデント、松波正様ご令室の松波文子様による支綱切断に連動してくす玉が割られ、紙吹雪と七色のテープが岸壁に係留された清安丸を彩る様が遠望できました。
そして清安丸の全容を眺望できる岸壁に移動して記念撮影の後、会場を川棚温泉のホテルへ移して祝賀会が催されました。川棚温泉は弱アルカリ性ナトリウムイオンの入ったラジウム泉で、ご来賓の皆様の疲れを癒やしリフレッシュいただけたことと思います。
9月16日、万端相整い引き渡しとなった清安丸は初荷役に向けて力強く出港していきました。セメントの国内需要は来る東京五輪やリニア新幹線開業、東北・熊本復興などに向け活発になっているとのことで、今後は荷主となられる宇部三菱セメント株式会社様の最新鋭のセメント運搬船として我が国のインフラ整備を担うことに大きな期待が寄せられています。
[2016/10/19]