NEWS 330 : 設計図から未来図へ
皆様、明けましておめでとうございます。
年頭にあたり、謹んで新年のご挨拶を申し上げますと共に、本年の抱負を述べさせていただきます。
昨年を振り返ってみますと、新造船部門では、コンテナ船5隻、捕鯨母船1隻の計6隻を無事竣工させることができました。なかでも3月に竣工した捕鯨母船「関鯨丸」については、日本では71年ぶりとなる建造である上に、随所に環境への配慮と先進性を盛り込むという非常に難易度の高いプロジェクトでしたが、これを納期通り竣工できたことは、旭洋造船すべての部門の力をひとつに結集した賜物であり、大きな達成感が得られました。ご存知の通り本船は、下関のみならず、全国のメディアにも取り上げられ、旭洋造船82年の歴史でもひときわ大きなトピックとなりました。
受注面では、概ね順調な新造船マーケットの中、計7隻の新規受注を獲得しました。既存顧客からの5隻のリピートオーダーに加え、国内外の2社の新規顧客からの受注です。また、もう一方の主力事業であります修繕船部門は、多くの企業からご愛顧いただき、安定した工事量を確保することができ、引き続き堅調に推移しております。
次に、今年の当社の取り組むべき課題と抱負を申し述べさせて頂きます。
2025年の課題と抱負
1. 画期的な新型船の建造
まず1つ目の課題は2隻の新規デザイン船の建造です。
1隻目は久々の建造となる内航のRORO貨物船です。荷役効率や積載率を向上させ、輸送効率を飛躍的に向上させるために、小振りな船体に大型の船尾ランプ、船内エレベーターを配置するなど高密度な艤装が求められています。設計・建造難易度が高く綿密な工程計画が必要とされる船型ですが、当社の持てる力を結集し5月の引き渡しに向けて着実に建造を進めてまいります。
もう1隻の新規デザイン船は、昨年12月テレビ番組でも紹介されましたが、日本財団無人運航船プロジェクト「MEGURI2040」第2フェーズ実証船4隻の内の1隻で旗船(ハタブネ)として新造され、日本で最初の自律運航船として国内外からの大きな注目を集めている内航コンテナ船であり、10月の竣工予定です。
2. 研究開発の推進
2つ目の課題は研究開発についてです。
昨年の年頭挨拶でご説明した新設計のフィーダーコンテナ船ですが、物理的制限の下で、実入りコンテナ積載数の大幅なアップを目指したコンセプト設計がいよいよ終盤を迎えており、今年は商談を開始する予定となっています。
また>昨年12月にニュースリリースをしましたが、上野トランステック株式会社様、泉鋼業株式会社様との共同で、12,000M3型アンモニア専用運搬船の新規デザイン計画を完了し、海事協会による AiP(Approval In Principle 基本設計承認)を取得しました。これをきっかけとし、カーボンニュートラルに向けた様々な挑戦に立ち向かっていく、非常に重要な一年になると意気込んでいるところです。
3. 購買力の強化
3つ目の課題は製造業において最も重要である購買力の強化です。
製造原価の大半を占める資機材、とりわけ鋼材価格の高止まりに直面する中で、新体制となった資材部門が一丸となって、新たな視点から安定した更に強い購買力を維持・向上させていきたいと考えています。
4. 人材の確保と持続可能な労働基盤の確立
最後に4つ目として人材の確保です。
労働集約型産業である造船業においては、生産量を維持するための労働力の確保が最大の課題となりますが、若年労働者の確保が年を追うごとに厳しくなってきており、更には完全休業日の徹底や労働条件の改善など社会的要請もあいまって、従来の生産量を維持することが年々困難になってきている状況です。これに対しては抜本的な待遇の改善を含め会社の魅力を向上させることは当然ながら、地元への社会貢献活動やスポーツ振興にも取り組む事によって知名度を向上させて地元の若い力を取り込み、生産量の維持に全力を注いでいきます。
グループ企業の現況について
グループ企業についてもお伝えいたします。
ストレイツインベストメント株式会社は、海事産業へ投資する会社として、現在、海外子会社を通じて8隻の船舶を手掛けています。これからも継続的に保有する船舶の数を増やし、将来は独立した事業の柱にすべく取り組みます。非マリン部門への投資を行うストレイツキャピタル株式会社では、出資先企業が順調に業績を伸ばし、次のステージへと飛翔する準備段階にシフトしているところです。
結びといたしまして、旭洋造船がこうして健全に事業を営ませていただけるのも、ひとえにご発注いただきました船主様を始め、商談を仲介いただきました商社様やブローカー様など、関係各社様のご厚情とご尽力の賜と、改めまして心より感謝の気持ちを申し述べさせていただきますとともに、新年が、皆様にとって健康で成功に満ちた素晴らしい年となりますように祈念致します。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
旭洋造船株式会社
代表取締役社長
越智勝彦