NEWS 177 : 内航船最大のコンテナ船を受注
既に新聞・業界紙などで報道されています通り、当社は昨年12月27日、井本商運株式会社殿(神戸市、井本隆之社長)より積載能力540TEU型、内航船としては最大となるコンテナ運搬船のご発注をいただきました。
今回のコンテナ運搬船は、内航コンテナ輸送のリーディングカンパニーである井本商運株式会社殿と、外航フィーダーコンテナ船を筆頭に多岐にわたる船型を開発してきた私ども旭洋造船が、「次世代」を念頭に置き、それぞれの専門的知識を融合した結果、化学反応的に生まれた内航コンテナ船です。その特徴をご紹介しましょう。
(1) 内航船最大のコンテナ船
本船は、国内の動脈・ 静脈貨物、並びに外航コンテナ船の大型化に伴う二次輸送の増加に応えるために大型化を図り、日本国内を航海する内航コンテナ船としては最大のキャパシティを誇ります。一般的な内航コンテナ船である499~749総トン数型と比較すると積載量は200%以上。輸送効率の飛躍的向上を実現します。
(2) 球状船首ブリッジ
自動車運搬船「City of St. Petersburg」(Ship of the Year 2010を受賞)シリーズ向けに旭洋造船が開発・関連特許を取得した風圧抵抗の少ない「球状船首 (Semi-Spherical Shaped Bow)」を採用。「次世代」を強く意識したモダンなデザインです。
半球形というユニークなフォルムを水線上の船首に与えることで、在来型船型に比べて正面風圧抵抗を30%低減、平均海象下における燃料消費量の5%削減を見込んでいます(いずれも当社設計計画値)。また、ブリッジと居住区を球状船首に一体化することで、旧来型のコンテナ船に比べて良好な視界を確保するだけでなく、機関室からの騒音や振動の影響から良好に隔離。さらに、コンテナ積み付けの効率性も向上させています。
(3) 環境への配慮
高効率プロペラや低燃費型塗料といった省エネ技術を随所に取り入れているほか、燃料補給の際の誤流出を防ぐ配管を装備。本来は外航船に適用されるIMO塗装性能基準 (PSPC) を適用するなど、従来型の内航船と一線を画した仕様です。日本の海を走る次世代コンテナ船として、環境への配慮もぬかりがありません。
この場で全ての技術をお話出来ないのが残念ですが、井本商運株式会社殿との幾度にもわたる打合せ・意見交換を経て、リーディングオペレーターならではの莫大なノウハウや新しいアイデアが、本船には注ぎ込まれています。
現在は、平水中・規則波中での水槽試験や、空気の流れを観測する風洞試験を行い、また新たに導入した設計ソフトウェアを活用しながら、最適な省エネ船型となるよう船体形状の磨き上げを行っています。
2年後の竣工に向け、全社一丸となって取り組んでまいります。どうぞご期待下さい。
[2014/02/12]