NEWS 204 : S522番船「なとり」命名引渡式
2015年命名引渡の大トリを飾るのは、内航フィーダー輸送の先駆者・井本商運株式会社様(神戸市、井本隆之社長)より2013年12月にご発注いただいた540TEU型コンテナ運搬船S522番船"なとり"(全長136メートル、総トン数7,390トン)です。
特徴的な半球状船首を持つ"なとり"の発注にあたっては、内航コンテナ船の大型化によるフィーダー輸送力の強化に取り組む井本商運様から、低燃費性や安全性を高次元で実現する当社の革新的技術への高い評価をいただきました。本プロジェクトは、「次世代型球状船首ブリッジを採用した大型内航コンテナ船による省エネ実証事業」として、経済産業省資源エネルギー庁による平成25年度の省エネ型ロジスティクス等推進事業(革新的省エネ型海上輸送システム実証事業)の対象となっています。
本船は、旭洋造船の3隻目のエコシップです。風圧抵抗を約30%低減する「半球状船首(当社特許)」はもとより、高効率プロペラや低燃費型塗料などの省エネ技術をふんだんに採用したことにより、燃費性能を従来型のコンテナ運搬船と比べ10%近く改善。当社技術の粋を極めた最新鋭コンテナ船となりました。(詳細はNEWS177をご覧ください)
引渡日は2015年12月11日でしたが、空模様は前日からあいにくの強い風雨。当日になり雨は小康状態となったものの、鈍く低く垂れ込んだ雲に覆われ台風並みの強風は収まりませんでした。このためご参列者の安全を最優先し、当初予定していた船上での式典は取りやめ、前夜に急遽設えられた本社会議室の特設会場に関係各界より60名あまりのゲストをお招きして、命名引渡式を行うことにしました。
花束贈呈、社旗交換の後、船主の井本商運株式会社代表取締役社長井本隆之様による力強い「命名"なとり"」の宣言に引き続き、ご令室様による支綱切断、シャンパン割りを合図に祝砲が轟き、船上ではくす玉が割れ七色のテープと紙吹雪の舞い散るさまが会場の窓からではありますが遠望することができました。
続いて"なとり"の全貌を眺望できる岸壁へ移動しての記念撮影です。悪天候の中最大の難関と心配されておりましたが、船主様、ご来賓の皆様、そして旭洋造船全従業員の願いが天に通じてか、風はうそのようにおさまり鈍色の雲の切れ目から薄日が差してくる絶好の撮影コンディションになったではありませんか。みなさんの満面の笑みによる記念撮影も無事終了し、いよいよ会場を市内ホテルへ移しての祝賀会です。
和やかな雰囲気で始まった祝賀会では、井本社長による船主様挨拶において「かつて江戸時代の経済を支えたのは河川によるフィーダー物流でした。これにちなんで宮城県の名取川から"なとり"と命名しました。また"名取り"には、高く評価され、名が高くなるように、という意味合いもあります。」と命名の由来についてご説明がありました。宴もたけなわな頃、会場より眺望できる関門海峡に"なとり"がその勇姿を悠然と現し、盛大な拍手と喝采の中、祝賀会はクライマックスを迎え同船の竣工が参加者の皆様から祝福されました。
"なとり"はこの後、門司港や阪神、京浜両地区でのお披露目を経て、東京、横浜と神戸、北九州、博多地区を結ぶ定期航路に就航したそうです。船主様には同事業を当社にご用命頂きましたことに深くお礼申し上げますとともに、"なとり"の活躍と安全航行を心よりお祈り致します。
[2016/01/20]